You see only what...

jumechi

2006年03月17日 22:20


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私の肉眼に映る画像とファインダーを通してみた風景、できあがった写真はそれぞれ全く違った表情をしている。
同じように私の目に映る情景と他の誰かの目に映る情景は全く違っているのかもしれない。
いま私が感じている青とあなたが感じている青が同じ色か否かは証明のしようがないから、これは断定も否定もできない。
とりあえず世間一般ではこのような色を「青」と呼んでいるから、私もあなたも「青だな」と思う。
ただそれだけのこと。

ものには無限の表情や色がある。
いま我々の目に映る情景を決定しているのは、単に視点の置き方や個人の感覚の違いだけではないだろう。
その人がこれまで生きてきた歴史やその人が生きている時代、所属する社会集団といったものが複雑に絡まりあって、その人にその情景を見させているのだと思う。
いま見ているもの、それは厳密に言えば「いま見ていると信じているもの」あるいは「いま見させられているもの」ではないだろうか。

人間は自分が思っているほど主体的に考え、行動する存在ではない。
これは多くの構造主義者が言っていること。
生活環境が何度も変わり、様々な社会集団に出入りするうちに、いつの間にかこのような考えを自然に受け入れるようになってきた。
歳を重ねるとは、こういうことなのだろうか?
自分についての無知を知り、人それぞれに見える情景が違うことを知ること、それは人間が仲良く生きていくうえで大切なことだと思う。

年度末を迎え皆が忙しくなり互いに気遣う余裕がなくなりそうな今日この頃、ふと尊敬する先生からいただいた言葉を思い出した。
"You see only what you expect to see."
「君は君が見えると予想するものだけを見ている。」
常に覚えておきたい言葉だ。

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